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親が亡くなったあとの手続き 完全ガイド|死後の手続き・相続の期限とやること【2026年版】

親が亡くなったあとの手続き 完全ガイド アイキャッチ

父を見送ったあと、悲しむ間もなく郵便物や役所からの通知が届きはじめて、何から手をつければいいのか途方に暮れたのを覚えています。手続きには「いつまでに」という期限がついていることが多く、それを知らないまま日々が過ぎていくのが、いちばん不安でした。

この記事は、親を見送ったばかりの方、とくに遠方に住みながら手続きを進める40〜50代の子世代に向けて書いています。読み終えるころには、何をいつまでに、どこですればよいのか、全体の地図が手もとに残るはずです。

この記事は、そんなときの「時系列の地図」です。亡くなった当日から数年先まで、何をいつまでにすればいいのかを、起きる順番にそって並べました。先に全体像を見ておくと、目の前のひとつに落ち着いて向き合えるようになります。

はじめにお伝えしておきたいことがあります。ここで紹介する期限や手続きは、2026年時点の一般的な目安です。期限や必要なものは、ご家族の状況や住んでいる地域によって異なります。正確なところは、お住まいの役所や、税理士・司法書士などの専門家に確認してください。この記事はあくまで全体の流れをつかむためのものとして読んでいただけたらと思います。

私自身、がんの父を自宅で看取り、そのあとの役所や銀行の手続きも、わからないなりに一つずつやり切りました。だからこそ、不安をあおるようなことは書きません。ひとつずつ片づけていけば、ちゃんと終わります。まずは深呼吸して、地図を広げるところからはじめましょう。

目次

まず全体像:死後の手続き「期限カレンダー」

死後の手続きには、それぞれ目安となる期限があります。まずは1枚の表で、全体を見渡してみてください。

親が亡くなったあと 手続きの期限カレンダー(2026年時点の目安)
手続きの期限カレンダー(2026年時点の目安)

ずらりと並ぶと身構えてしまうかもしれませんが、全部を一度に、一人で抱えなくて大丈夫です。期限が早いものから順に、ひとつずつ進めていけば間に合います。それぞれの手続きの中身は、このあとの章でくわしく説明していきます。

ちなみに、故人がエンディングノートを残してくれていると、口座や保険の情報がわかって手続きがぐっとスムーズになります。元気なうちに書いておくことの大切さは、別の記事でもふれています。また、在宅介護にかかったお金の整理については、介護費用の記事もあわせて読んでいただけたらと思います。

なごみメモ

私は最初、この一覧を手書きで紙に書き出して、冷蔵庫に貼っていました。終わったものに線を引いていくだけで、「ちゃんと前に進んでいる」と思えて、ずいぶん気持ちが軽くなりました。

亡くなった当日〜数日:葬儀と死亡届(7日以内)

亡くなった直後は、悲しみと並行して、葬儀の準備や役所への届け出が一気に押し寄せます。ここでつまずきやすいポイントを、順番に見ていきます。

まずは死亡届

死亡診断書(死体検案書)を受け取る

人が亡くなると、まず医師から死亡診断書を受け取ります。病院で亡くなった場合は担当の医師が、自宅で亡くなった場合はかかりつけ医などが作成します。事故などで亡くなった場合は、死体検案書という書類になることもあります。

この書類は、このあとのさまざまな手続きで何度も必要になります。死亡届とセットになっているほか、生命保険の請求や、金融機関での手続きでも提出を求められることが多いものです。原本は返してもらえないこともあるので、受け取ったら早めにコピーを数枚とっておくと安心です。

死亡届の提出と火葬許可証(7日以内)

死亡届は、亡くなったことを知った日から7日以内に、市区町村の役所へ提出するのが一般的です。届出書の右側が死亡診断書になっているので、左側の死亡届の欄を親族などが記入します。

死亡届を提出すると、火葬許可証が交付されます。これがないと火葬ができないため、死亡届と火葬許可証はセットで動くものと考えておくとわかりやすいです。提出先や必要なものの詳細は、お住まいの自治体のページや、法務省の戸籍に関する案内で確認できます。

葬儀社が代行してくれる範囲・自分で動く範囲

実際には、死亡届の提出や火葬許可証の受け取りは、葬儀社が代行してくれることが多いです。記入だけ家族が行い、提出は任せる、という流れが一般的です。

一方で、葬儀の内容を決めたり、親族へ連絡したりするのは家族の役目になります。どこまで任せられるのかは葬儀社によって違うので、最初の打ち合わせのときに「役所への届け出はお願いできますか」と確認しておくと、抜け漏れを防げます。

なごみメモ

私がいちばん「やっておいてよかった」と思ったのが、死亡診断書のコピーを数枚とっておいたことでした。あとから保険や口座の手続きで何度も必要になって、そのたびにコピーを探さずにすんだのが、地味だけれど本当に助かりました。

10〜14日以内:役所でまとめて済ませる手続き

葬儀が終わって少しほっとしたころ、つぎにやってくるのが役所での手続きです。期限が10日や14日と短いものが集まっているので、できれば一度の来庁でまとめて済ませてしまうのがおすすめです。多くは故人がお住まいだった市区町村の役所が窓口になります(2026年時点)。

役所でまとめて

年金の受給停止(受給権者死亡届)

年金を受け取っていたかたが亡くなると、受給を止める手続きが必要です。一般的な目安として、国民年金は14日以内、厚生年金は10日以内とされています(2026年時点・正確な扱いは状況により異なります)。マイナンバーが登録されている場合は届け出を省略できることもあるので、年金事務所や年金ダイヤルで確認してみてください。

出典:日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」

未支給年金の請求

年金は亡くなった月の分まで受け取れます。まだ振り込まれていない分は「未支給年金」として、生計を同じくしていた遺族が請求できます。受給停止の手続きと一緒に案内されることが多いので、あわせて聞いておくと二度手間になりにくいです。

出典:日本年金機構「未支給年金」

健康保険・後期高齢者医療の資格喪失と保険証の返却

国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していたかたは、資格を失う手続きと保険証の返却が必要です。会社の健康保険の場合は、勤務先を通じての手続きになることが多いようです。

介護保険の資格喪失(14日以内)

介護保険の被保険者証をお持ちだった場合は、資格喪失の届け出と被保険者証の返却を、14日以内を目安におこないます(2026年時点)。

住民票の抹消・世帯主変更(14日以内)

死亡届を出すと住民票からは自動的に抹消されますが、故人が世帯主だった場合は、残されたかたの世帯主を変更する届け出が必要になることがあります。こちらも14日以内が目安です(2026年時点)。

出典:各自治体の国民健康保険・介護保険のご案内ページ

役所での手続きは、戸籍や本人確認書類など、同じような書類を何度も使います。出向くまえに、必要書類をリストにしておくと安心です。

  • 故人の情報がわかるもの(戸籍・除票など)
  • 手続きをするかたの本人確認書類
  • 故人と請求者それぞれの情報(マイナンバーなど)
  • 振込先の口座がわかるもの(通帳など)

正確に必要なものは制度や自治体によって異なりますので、お住まいの役所のページで事前に確認しておくことをおすすめします。

なごみメモ

私は総合窓口で「やることリスト」を作ってもらってから動きました。それでも同じ戸籍を何度も求められて、コピーを多めに持っていけばよかったと思いました。順番に迷ったら、まず年金の窓口から声をかけると、ほかの窓口へも案内してもらいやすかったです。

請求しないともらえないお金(葬祭費・埋葬料・高額療養費・生命保険)

手続きのなかには、こちらから申請しないと受け取れないお金があります。いわゆる「申請主義」で、黙っていても自動では振り込まれません。金額は制度や自治体によって異なるので、ここではあくまで目安として整理します。正確な金額や条件は、お住まいの市区町村や加入していた健康保険にご確認ください(2026年時点)。

もらい忘れないで

葬祭費・埋葬料

国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していたかたが亡くなると、葬儀をおこなったかたに「葬祭費」が支給されることがあります。会社の健康保険の場合は「埋葬料(費)」という名前になります。どちらも、一般的に2年以内の申請が目安とされています(2026年時点)。

出典:全国健康保険協会(協会けんぽ)「埋葬料(費)」/各自治体「葬祭費」のご案内

高額療養費の払い戻し

ひと月の医療費が一定の上限を超えていた場合、超えた分があとから払い戻される「高額療養費」という制度があります。亡くなったあとでも、原則2年以内であれば遺族が請求できます(2026年時点)。入院が長かったかたほど、対象になっている可能性があります。

出典:各自治体「高額療養費」のご案内

生命保険金の請求

故人が生命保険に加入していた場合は、受取人として指定されたかたが保険会社に請求します。請求できる期間は原則3年以内が目安とされています(2026年時点)。保険証券が見当たらなくても、保険会社や生命保険協会の照会制度で確認できることがあります。

国民年金の死亡一時金・遺族年金

国民年金を納めていたかたが亡くなったとき、条件に当てはまれば「死亡一時金」や「遺族年金」を受け取れることがあります。該当するかどうかは状況によって異なりますので、年金事務所で相談してみてください。

出典:日本年金機構「遺族年金」

これらはどれも、期限内に申請してはじめて受け取れるものです。あとから気づくと間に合わないこともあるので、心の余裕が出てきたタイミングで一度、まとめて確認しておくと安心です。

なごみメモ

いちばんもったいないのは、もらえるはずのお金をもらい忘れることだと感じました。父は入院が長かったぶん、高額療養費の払い戻しが思っていたより大きく、申請しておいてよかったと心から思いました。疲れているときほど後回しになりがちなので、ひとつずつで大丈夫です。

毎月の支払いを止める:公共料金・銀行・カード・サブスク

葬儀が終わってひと息つくころ、気になってくるのが「毎月の支払い」です。亡くなったあとも、止めない限り契約は生きていて、引き落としは続きます。一つずつ、落ち着いて整理していきましょう。

毎月の支払いを止める

銀行口座はいつか凍結される

金融機関が名義人の死亡を知ると、その口座は凍結され、入出金ができなくなります。家賃や公共料金の引き落としも止まるため、引き落とし先にしていた口座は早めに把握しておくと安心です。

葬儀費用などのために、一定額までは相続人が引き出せる「仮払い制度」も設けられています。引き出せる金額には上限があり、手続きには戸籍などの書類が必要になることが多いようです。くわしい条件は金融機関や全国銀行協会の案内で確認してみてください。

公共料金や通信は「名義変更」か「解約」か

電気・ガス・水道、携帯電話、固定電話、NHK、ネット回線。これらは、住む人がいるなら名義変更、いないなら解約、と分けて考えると整理しやすくなります。

それぞれ契約先が違うため、検針票や請求書を集めて一覧にしておくと、連絡漏れを防ぎやすくなります。

クレジットカードの解約

クレジットカードは、年会費や継続課金がそのまま残ることがあります。利用がないか明細を確認したうえで、カード会社へ解約の連絡をします。引き落とし口座とひもづいている支払いがないか、あわせて見ておくと安心です。

サブスクとデジタル遺品

意外と見落としやすいのが、動画・音楽・通販などのサブスクリプションです。放置すると毎月の課金が静かに続いてしまいます。

ここでむずかしいのが、スマートフォンのパスコード問題です。本人のスマホが開けないと、どんなサービスを契約していたのか特定できず、解約の入り口にもたどり着けません。メールやアプリの履歴も確認できず、行き止まりになってしまうのです。

こうしたデジタル遺品の困りごとは、生前にエンディングノートへ契約中のサービスやID情報の在りかを書き残しておくだけで、ずいぶん軽くなります。残された人が迷わずに済む備えとして、考えてみる価値があります。

なごみメモ

父のスマホのパスコードが分からなくて、本当に困りました。携帯の有料オプションやネットの会員サービスが、どこと契約されているのかも確かめられず、解約の入り口をさがすだけでひと苦労で…。元気なうちに「契約しているもの」を一緒に書き出しておけば、と思った場面の一つです。

亡くなった人の確定申告:準確定申告(4か月以内)

亡くなった人に一定の所得があった場合、その年の確定申告を相続人が代わりに行います。これを「準確定申告」といいます。

亡き人の確定申告

対象になるのは、亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得です。期限は、相続の開始を知った日の翌日から4か月以内とされています(2026年時点)。通常の確定申告より短いので、早めに見当をつけておくと落ち着いて準備できます。

自分は対象になる? 見分けの目安

すべての人に必要なわけではありません。一般的に、次のような場合は準確定申告が必要、または還付を受けられることがある、とされています。

  • 事業所得や不動産収入があった
  • 一定額以上の年金を受け取っていた
  • 亡くなる前に多額の医療費がかかり、医療費控除で還付が見込まれる
  • 給与や報酬から所得税が源泉徴収されていた

反対に、収入が公的年金中心で金額も一定以下なら、対象にならないことも多いようです。判断に迷うときは、国税庁のタックスアンサー「No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」を確認したうえで、正確には税務署や税理士に相談すると安心です。

なごみメモ

うちは父の収入が年金中心だったので、調べてみたら対象外でした。「申告しなきゃいけないのかな」と不安だった数日間が、ひと言確認できただけでふっと軽くなったのを覚えています。迷ったら抱え込まず、まず聞いてみるのがいちばんでした。

相続の進め方①:遺言書の確認と、相続人・財産の確定

相続の手続きは、いきなり財産を分けるところから始まるわけではありません。まずは「遺言書があるかどうか」「だれが相続人なのか」「どんな財産があるのか」を順番に確かめていきます。土台づくりのような工程です。

遺言と相続人をさがす

まず、遺言書があるか確認する

遺言書があれば、原則としてその内容が優先されます。さがす場所は主に次の3つです。

  • 自宅(机の引き出し、金庫、仏壇まわりなど、大切なものをしまっていた場所)
  • 法務局(自筆証書遺言書保管制度を使っていた場合。2026年時点で、法務局に問い合わせて確認できます)
  • 公証役場(公正証書遺言の場合。全国の公証役場で検索できる仕組みがあります)

故人が生前に「遺言を書いた」と話していたか、心当たりのある人にたずねてみるのも手がかりになります。

自筆証書遺言は、家庭裁判所で検認する

手書きの遺言書(自筆証書遺言)が見つかったときは、開封する前に家庭裁判所の「検認」という手続きが必要になるのが一般的です。勝手に開けてしまうと、後でトラブルのもとになることがあります。

ただし、法務局の保管制度を使っていた遺言書は、検認が不要とされています。手続きの流れはケースにより異なるため、正確には家庭裁判所や専門家に確認してください。

相続人を確定する

「だれが相続人か」は、思い込みではなく戸籍で確かめます。故人の出生から亡くなるまでの戸籍(除籍謄本・改製原戸籍を含む)を、ひとつながりに集めていきます。前の結婚や、知らなかった兄弟姉妹が記載されていることもあるためです。

集めた戸籍をもとに「法定相続情報証明制度」を利用すると、相続人の一覧図を法務局が証明してくれます。銀行や登記の手続きのたびに分厚い戸籍の束を出さずに済むので、覚えておくと負担が軽くなります。

相続財産を調べる

財産はプラスのものだけではありません。

  • プラスの財産(預貯金、不動産、株式、保険など)
  • マイナスの財産(借入金、ローン、未払いの税金など)

特に借金などのマイナスは見落としやすい部分です。郵便物や通帳の引き落とし、契約書などから少しずつたどっていきます。マイナスが多い場合は、次の章で触れる相続放棄の判断(目安として3か月以内)に間に合わせるためにも、早めに着手しておくと安心です。

なごみメモ

戸籍集めは、正直いちばん時間がかかった工程でした。古い戸籍は別の役所にあったりして、何度も往復することに。遠くに住んでいる場合は、郵送請求という方法があります。役所のホームページに請求書の様式や手数料(定額小為替で納めます)の案内があるので、先に電話で必要なものを聞いてから送ると、やり直しが減ります。少し時間に余裕をみておくと、気持ちがらくでした。

出典:法務省「自筆証書遺言書保管制度」、裁判所「遺言書の検認」、法務局「法定相続情報証明制度」(いずれも2026年時点)

相続の進め方②:相続放棄・限定承認(3か月以内)

財産を調べた結果、借金のほうが多そうなとき。あるいは、いろいろな事情で相続に関わりたくないとき。そんなときの選択肢が「相続放棄」と「限定承認」です。

相続放棄という選択

相続放棄をすると、プラスもマイナスもいっさい引き継がない扱いになります。限定承認は、受け継ぐプラスの財産の範囲内でマイナスを引き受ける方法です。

注意したいのが期限です。一般的に、相続放棄や限定承認には「熟慮期間」があり、目安として3か月以内とされています。これは「自分のために相続が始まったことを知った時から」数える期間です。手続きは、故人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で行います。

もうひとつ気をつけたいのが、故人の財産の扱い方です。亡くなった人の預貯金を使ったり、持ち物を売ったり処分したりすると、「相続を承認した(単純承認)」とみなされ、後から放棄できなくなることがあるとされています。判断に迷うものには、手をつける前に確認しておくと安心です。期限や具体的な進め方はケースにより異なるため、正確には家庭裁判所や専門家にたずねてください。

なごみメモ

3か月と聞くと長いようで、葬儀やそのあとの片づけに追われていると、あっという間に過ぎていきます。私も気づけば日にちが経っていて、ひやりとしたことがありました。少しでも「どうしよう」と迷ったら、自分だけで抱え込まず、早めに専門家へ相談してみてください。聞くだけでも、気持ちがずいぶん軽くなります。

出典:裁判所「相続の放棄の申述」(2026年時点)

相続の進め方③:遺産分割と名義変更(預貯金・株・不動産・車)

相続人が確定し、財産の全体像が見えてきたら、いよいよ「だれが何を引きつぐか」を決めて、ひとつずつ名義を変えていく段階に入ります。ここがまとまらないと、預貯金の引き出しから不動産の手続きまで、その多くが先に進みません。

名義を変える

遺産分割協議と遺産分割協議書

遺言がない場合、相続人全員で「だれが何を相続するか」を話しあって決めます。これを遺産分割協議といいます。一人でも欠けると成立せず、まとまった内容は遺産分割協議書という書面にまとめます。

この書面には相続人全員が実印を押し、それぞれの印鑑証明書をそえるのが一般的です。あとの名義変更で何度も使うので、複数部つくっておくと手間が減ることが多いようです。

預貯金の払い戻し・株式の名義変更

預貯金は、金融機関ごとに所定の用紙へ記入し、遺産分割協議書や戸籍一式、印鑑証明書などをそえて手続きします。必要書類は機関によってちがうので、事前に各窓口へ確認しておくと安心です。

株式や投資信託は、原則として相続人名義の証券口座へ移してから対応する流れになります。こちらも証券会社ごとに案内が異なります。

不動産の相続登記(2024年4月から義務化)

土地や建物の名義を変える相続登記は、2024年4月から申請が義務化されました。相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内が目安とされています(2026年時点)。期限内に手続きをしないと、10万円以下の過料の対象になり得るとされています。

ただ、あわてなくても大丈夫な仕組みもそえられています。すぐに分割がまとまらないときは、相続人申告登記という簡易な方法で、いったん義務を果たすことができます。また、施行前に起きた相続も対象ですが、2027年3月末までの猶予が設けられています(2026年時点)。くわしい要否や進め方は、法務局や専門家に確認すると確実です。

自動車の名義変更

自動車も名義変更が必要です。一般的には15日以内が目安とされていますが、実務では少しおくれて手続きする例も見られます。普通車は運輸支局、軽自動車は軽自動車検査協会と窓口が分かれます。

なごみメモ

一つ手続きが終わるたびに、書類の山がほんの少し低くなる。その小さな達成感を支えに、私は銀行、証券、車と、順番に片づけていきました。全部を一度にやろうとしないこと。それだけで、ずいぶん気持ちが軽くなりました。

出典:法務省「相続登記の申請義務化」、法務局、政府広報オンライン(2026年時点)

相続税は「かかる人」と「かからない人」がいます(10か月以内)

相続と聞くと、まず相続税を心配されるかたが多いかもしれません。でも実際には、相続税がかからないご家庭のほうが多いといわれています。まずは「うちはかかるのかどうか」を、落ちついて見てみましょう。

相続税はかかる?

基礎控除で要否を見る

相続税には基礎控除という非課税のわくがあります。一般的な目安は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」とされています(2026年時点)。

たとえば相続人が3人なら、3,000万円+600万円×3で4,800万円。遺産の総額がこのわくにおさまっていれば、相続税はかからず、申告も不要になることが多いとされています。財産の評価方法によって金額は変わるので、判断に迷うときは税務署や専門家に確認すると安心です。

申告・納付は10か月以内

相続税がかかる場合、申告と納付の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内が目安です(2026年時点)。提出先は、故人の住所地を管轄する税務署になります。

ひとつ気をつけたいのは、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例といった負担を軽くする仕組みです。これらを使うと結果的に税額がゼロになることもありますが、その場合でも「申告すること」が条件になるとされています。使えそうなときは、早めに専門家へ相談しておくと安心です。

二次相続まで考えると

たとえば父が亡くなり、次にいつか母が亡くなる。この二度目の相続を二次相続と呼びます。一度目で配偶者にめいっぱい寄せると、二度目で負担が大きくなることもある、といわれます。目先だけでなく、少し先まで見て考える視点があると後悔が少ないようです。

なごみメモ

「うちは相続税、かからなかったね」。計算してそうわかったときの、ほっとした空気を今でも覚えています。必要以上に身がまえなくて大丈夫なご家庭も、きっと多いはずです。それでも不安なときは、一人で抱えず専門家の力を借りてくださいね。

出典:国税庁「相続税の申告と納税」No.4205、「相続税の計算」No.4152(2026年時点)

誰に頼めばいい?司法書士・税理士・行政書士・弁護士の違い

亡くなったあとの手続きは、自分でできるものも少なくありません。役所への届け出、年金の手続き、一部の名義変更などは、平日に時間をつくれば自分で進められる場面も多いものです。一方で、内容によっては専門家の力を借りたほうが安心なこともあります。一般的な目安として、状況別の使い分けを整理しておきます。

誰に頼む?
  • 不動産の名義変更(相続登記)をするとき:司法書士。登記の手続きは専門性が高く、司法書士が業務として扱っています。
  • 相続税がかかりそうなとき:税理士。財産の総額が一定を超えると相続税の申告が必要になる場合があります。税額の計算や申告は税理士の領域です。
  • 相続人どうしで「もめ事」になりそうなとき:弁護士。話し合いがまとまらない、主張が対立しているといった場面では、代理人として交渉できる弁護士に相談する流れが一般的です。
  • 書類作成や遺産分割協議書、預貯金の手続きが中心のとき:行政書士。争いがなく、必要な書類づくりや預貯金の名義変更などが中心であれば、行政書士が相談先になることがあります。

それぞれの正確な業務範囲や、どの専門家に頼めるかは、日本司法書士会連合会・日本税理士会連合会・日本行政書士会連合会・日本弁護士連合会などの業務案内でも確認できます。費用は事務所により幅がありますので、依頼する前に見積もりを聞いておくと安心です。

なごみメモ

私の場合は、役所の届け出や年金まわりは自分でやって、不動産の名義変更だけはお願いしました。全部を抱え込まなくてもいいし、全部を頼まなくてもいい。「ここまでは自分で、ここからはお願い」の線引きが見えると、ずいぶん気持ちが軽くなりました。

遠方に住む子世代へ:帰省のたびに少しずつ進めるコツ

遠くに住んでいると、いちばん困るのが「役所も銀行も平日の昼間しか開いていない」という現実です。そのたびに仕事を休んで帰省するのは、現実的ではありません。それでも、進め方を工夫すれば少しずつ前に進められます。

離れていても
  • 委任状を活用する。本人でなくても、委任状があれば手続きを代わりに進められる場合があります。何が必要かは、事前に役所や金融機関へ電話で聞いておくと、二度手間を防げます。
  • 郵送請求やオンライン化を使う。戸籍などの書類は郵送で請求できることがあります。マイナンバーカードを使ったオンラインの手続きも、少しずつ広がっています。使えるものは使って、移動の回数を減らしましょう。
  • きょうだいで分担する。「誰が何を担当するか」を最初に話しておくと、行き違いが減ります。近くに住む人が窓口、遠くにいる人が書類集めや電話連絡、というように役割を分けるのも一つの方法です。

一度にすべてを終わらせようとすると、息が切れてしまいます。帰省のたびに一つずつ片づけていく。それくらいのつもりで十分です。

なごみメモ

遠くにいると「何もできていない」と自分を責めてしまいがちです。でも、電話一本、書類一枚でも、ちゃんと前に進んでいます。距離があっても支えられることは、思っているよりたくさんあります。看取りのときに感じたことは、別の記事にも書きました。どうか、自分を責めないでくださいね。

まとめ:あわてず、順番に

亡くなったあとの手続きは数が多くて、最初は途方に暮れてしまうかもしれません。でも、打てる手は順番に用意されています。あわてず、一つずつ進めていけば大丈夫です。

あわてず、順番に

期限のある主な手続きを、目安としてまとめておきます。

  1. 死亡届の提出(7日以内が目安)
  2. 年金の手続きや健康保険の届け出(2週間前後が目安のものがあります)
  3. 相続放棄を考える場合の家庭裁判所への申述(3か月以内が目安)
  4. 相続税の申告(必要な場合は10か月以内が目安)

順番に見ていけば、いま何をすべきかが少しずつ見えてきます。手続きの前後には、エンディングノートの整理が役立つこともありますし、介護の費用についてまとめたガイドや、在宅での看取りの体験記も、別の記事でお話ししています。気持ちが落ち着いたときに、のぞいてみてください。

掲載の期限・金額・制度は2026年時点の一般的な目安です。状況により異なります。正確には各役所・年金事務所・税務署・法務局・家庭裁判所、または司法書士・税理士・行政書士・弁護士などの専門家にご確認ください。

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この記事を書いた人

なごみと申します。がんの父を自宅で看取った経験から、介護・看取り・終活について、同じ立場の方のお役に立てればと綴っています。専門家ではありませんが、当事者として「あのとき知っておきたかったこと」を、できるだけ正直にお伝えしていきます。

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