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親の介護費用は月いくら?在宅・施設の相場と、負担を軽くする制度・足りないときの対処【2026年完全ガイド】

親の介護にかかるお金の完全ガイド

親の介護が始まると、多くの人が最初にぶつかるのが「いったい、いくらかかるのだろう」という不安です。私自身も、がんの父を在宅で看取るなかで、最初に向き合ったのがこのお金の心配でした。

この記事は、親の介護が始まりそうで、お金の不安を感じている40〜50代の方に向けて書いています。読み終えるころには、月々の目安と、負担を軽くする制度、足りないときの相談先まで、ひととおり見通せるようになります。

この記事は、専門家の解説ではありません。一人の当事者が、介護のお金について、公的機関の情報をたどりながら整理したものです。だからこそ、制度の数字には出どころと時点(2026年時点)を添えています。最終的な判断は、お住まいの市区町村の窓口や専門家にご確認ください。

費用の全体像から、負担を軽くする公的な制度、お金が足りないときの対処、そして今からできる備えまで。順番に見ていけば、漠然とした不安は「打てる手のリスト」に変わっていきます。

目次

親の介護にかかるお金は、平均でどれくらい?

介護にかかるお金の平均
介護にかかるお金の平均

親の介護にかかるお金は、大きく分けて2種類あります。住宅改修や介護用ベッドの購入など、はじめにまとまってかかる「一時費用」と、毎月くりかえし出ていく「月々の費用」です。総額をざっくりつかむには、この2つを次のように足し算で考えると見通しが立ちやすくなります。

  • 一時費用…平均47.2万円
  • 月々の費用…平均9.0万円
  • 平均的な介護期間…55.0か月(4年7か月ほど)

この数字をもとに単純計算すると、月々9.0万円×55.0か月=約495万円。これに一時費用の47.2万円を足して、総額の目安はおよそ540万円ということになります(2026年時点/生命保険文化センター2024年度調査)。

ただ、この金額はあくまで目安で、実際には人によって大きく幅が出るところです。在宅で介護するのか施設に入るのか、また要介護度がどれくらいかによって、月々の負担も介護が続く期間も変わってきます。施設に入る場合は月々の費用がぐっと上がることもありますし、反対に介護期間が平均より短くすむこともあります。平均はあくまで真ん中あたりの一つの目安、と受けとめておくくらいがちょうどよいかもしれません。

私自身、父を在宅で看取ったときの費用は、この平均とはずいぶん違っていました。だからこそ、平均を見て安心しすぎることも、逆に絶望することもしないでほしいと思っています。大切なのは、自分の家の場合はどうなりそうかを少しずつ具体的に考えていくことです。

介護のお金は誰が払うのが基本?

介護のお金は誰が負担するのか、はじめに整理しておくと、後々の話し合いがぐっと楽になります。一般的な考え方として、介護にかかるお金は親本人の年金や貯蓄でまかなうのが基本とされています。子がよかれと思って肩代わりを続けると、子ども自身の生活や老後の備えまで細ってしまい、共倒れになりやすいと言われています。

そのため、まず大切なのは、親のお金がどこにどれくらいあるのかを、おおまかにでも把握しておくことです。年金の振込口座、預貯金、保険など、いざというときに頼れるものがどこにあるのかが分かっているだけで、判断のスピードがまったく変わってきます。お金の在りかや希望を書きとめておくエンディングノートを活用したり、元気なうちに少しずつ親と話しておいたりすることが、結果的に親本人の意思を尊重することにもつながります。

また、施設に入居するときには、連帯保証人や身元引受人を求められることがあります。これは子が費用をすべて負担するという意味ではなく、万一のときの連絡先や手続きの窓口という意味合いで求められる場合が多いようです。とはいえ契約内容によって扱いは変わるため、署名する前に内容をよく確認しておくと安心です。

私自身、遠方に住んでいた頃は、親のお金の話を切り出すのがどうしても気まずく、つい先延ばしにしていました。けれど一度きちんと話してみると、お互いに気持ちが軽くなったのを覚えています。

在宅介護にかかるお金と、その内訳

在宅で介護をするとき、お金は「毎月かかるもの」と「最初にまとまってかかるもの」に分けて考えると、見通しが立てやすくなります。

毎月の費用の平均は、5.3万円ほどとされています(生命保険文化センター「2024年度 生命保険に関する全国実態調査」より。2026年時点)。この月々の費用は、大きく2つに分けられます。

介護サービスの自己負担

訪問介護やデイサービス、福祉用具のレンタルなど、介護保険のサービスを使ったときにかかる自己負担です。費用の1〜3割が自己負担となり、割合は所得などによって変わります。

サービス以外の実費

介護保険の対象にならない、暮らしのなかの実費です。たとえば次のようなものがあります。

  • 医療費(受診・薬代など)
  • おむつや尿とりパッドなどの衛生用品
  • 日用品や食事にかかる費用
  • 通院のための交通費

この「サービス以外の実費」は、一つひとつは小さくても、毎月積み重なると地味に効いてきます。家計を見るときは、サービスの自己負担だけでなく、こうした実費もあわせて見ておくと安心です。

在宅でかかったお金で、わが家でいちばん助かったと感じたのは、福祉用具を買わずにレンタルできたことでした。

最初にまとまってかかる一時費用

介護が始まるとき、住まいを整えるためにまとまった費用がかかることがあります。主な中身は次のとおりです。

  • 福祉用具(介護ベッド・車いす など)
  • 住宅改修(手すりの設置・段差の解消 など)

これらのなかには、介護保険の対象になるものがあります。福祉用具の一部はレンタルで利用でき、住宅改修も一定の範囲で介護保険が使える仕組みがあります(厚生労働省「介護保険の解説」より。2026年時点)。対象になるかどうかや限度額は、状況によって変わります。

費用の目安や使える制度は、人によって、また住んでいる地域によっても変わります。正確なことは、お住まいの市区町村の窓口や、担当のケアマネジャーへ確認してください。

施設介護にかかるお金(種類別の相場)

在宅と施設の費用のめやす
在宅と施設の費用のめやす

施設で介護を受ける場合、毎月の費用の平均は13.8万円ほどとされています(生命保険文化センター「2024年度 生命保険に関する全国実態調査」より。2026年時点)。在宅とくらべると、月々の負担は大きくなる傾向があります。

施設の月額費用は、おおまかに次のような中身で構成されています。

  • 家賃(居住費)
  • 管理費
  • 食費
  • 水道光熱費
  • 介護保険の自己負担分

施設は大きく「公的施設」と「民間施設」に分けられ、費用のかかり方が変わります。

公的施設

特別養護老人ホーム(特養)・介護老人保健施設(老健)・介護医療院などがあります。入居一時金は原則として必要なく、月々の費用も比較的おさえやすいとされています。

ただし特養は、原則として要介護3以上の方が対象です。希望者が多く、入居までに待つことがある点も知っておくとよいでしょう。

民間施設

介護付き有料老人ホーム・住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)・グループホームなどがあります。入居一時金や月額の費用には幅があり、施設によって大きく変わります。

入居一時金とは

入居するときに、最初にまとめて支払うお金のことです。金額の幅はとても大きく、0円のところもあれば、数百万円、施設によっては数千万円になることもあるとされています。あくまで目安で、施設による差がとても大きい部分です。

ここで挙げた金額は、いずれも一般的な目安です。実際の費用は施設ごとに大きく変わるため、気になる施設があれば、見学のときに各施設へ直接確認してください。

わが家が在宅を選んだ理由は、お金のことだけではありませんでした。住み慣れた家で、家族のそばで過ごす時間を大切にしたい、という気持ちもありました。費用は大事な判断材料の一つですが、それだけで決めなくてよいのだと思います。

要介護度別の費用の目安(支給限度額の一覧)

介護保険には、要介護度ごとに1か月に使えるサービスの上限が決められています。これを「区分支給限度基準額」といいます。この枠の中であれば、自己負担は所得に応じて1〜3割ですみます。枠を超えて使った分は、全額が自己負担になる仕組みです。

枠の大きさは「単位数」で示されます。1単位はおおむね10円ですが、地域やサービスの種類によって変わるため、下の金額はあくまで目安と考えてください。

厚生労働省が定める区分支給限度基準額は、2026年時点でおおむね次のとおりです。

要介護度 1か月の限度(単位) 金額のめやす(1単位10円換算)
要支援1 5,032単位 約5万円
要支援2 10,531単位 約10.5万円
要介護1 16,765単位 約16.8万円
要介護2 19,705単位 約19.7万円
要介護3 27,048単位 約27万円
要介護4 30,938単位 約30.9万円
要介護5 36,217単位 約36.2万円

表を見ると、介護の必要度が重いほど使える枠が大きくなることがわかります。ただし、枠が増えるということは、その分サービスをたくさん使えるということでもあり、1〜3割の自己負担額も増えやすくなります。「枠が大きい=負担が軽い」ではない点に気をつけたいところです。

実際にどの区分になるかは、申し込みのうえで受ける要介護認定で決まります。同じ要介護3でも、暮らしぶりや必要なサービスによって、実際に使う額は人それぞれです。

父の在宅介護のとき、私はこの枠をどう配分するかでずいぶん迷いました。訪問の回数を増やせば枠はすぐに埋まり、その月に何を優先するかを家族で話し合う時間が、振り返ると大切だったように思います。

ここで挙げた単位数や金額は2026年時点の目安です。お住まいの地域の単価や最新の基準は変わることがあるため、正確には市区町村の窓口や担当のケアマネジャーへご確認ください(出典:厚生労働省「区分支給限度基準額」)。

自己負担を軽くする公的制度①:払い戻し・上限の制度

負担を軽くする公的制度
負担を軽くする公的制度

介護にかかるお金には、自己負担が重くなりすぎないよう、いくつかの公的な制度が用意されています。ここでは「払い戻し」や「上限」にかかわる3つを紹介します。いずれも、知っているだけでは適用されず、自分で申請してはじめて受けられるものです。

高額介護サービス費

1か月に支払った介護サービスの自己負担が、所得区分ごとに決められた上限を超えたとき、その超えた分があとから払い戻される制度です。

上限の目安は、一般的な所得の世帯で月44,400円、住民税が非課税の世帯で月24,600円とされています(2021年8月の改定以降/厚生労働省)。

対象になるのは介護サービスの自己負担分のみです。施設で暮らす場合の食費や居住費は、この制度の対象には含まれない点に気をつけたいところです。

特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)

所得や資産が一定以下の方は、施設に入ったときやショートステイを利用したときの食費・居住費が軽くなる制度です。利用するには申請が必要で、認められると「負担限度額認定証」が交付されます。

なお、居住費については2026年8月から一部が見直される予定です。金額は変わることがあるため、最新の内容は市区町村でご確認ください。

高額医療・高額介護合算療養費制度

1年間(毎年8月から翌年7月まで)にかかった医療と介護の自己負担を合算し、所得区分ごとの上限を超えた分が戻る制度です。

医療と介護が同じ時期に重なっている世帯ほど、効果が大きくなりやすいのが特徴です。通院や入院と介護が同時に続いた家庭では、合算という視点が助けになる場合があります。

申請してはじめて受けられる

3つに共通するのは、いずれも自動では適用されないということです。父の介護のとき、私もこうした払い戻しの制度を最初は知らず、あやうく申請しそびれるところでした。窓口で教わって書類を出したことを、今でもよかったと思っています。

制度の内容や上限額は変わることがあります。ここで挙げた数字は2026年時点の目安です。ご自身が対象になるかどうかや最新の金額は、正確には市区町村の窓口へご確認ください。

自己負担を軽くする公的制度②:税の控除(医療費控除・障害者控除)

介護にはサービス利用料や日々の出費が積み重なります。じつは、その一部は税の控除を通じて後から取り戻せる場合があります。ここでは確定申告などで使える可能性のある控除を整理します。

父の介護をしていたとき、領収書をなんとなく取っておいただけで、控除に使えると知ったのはずいぶん後でした。知っているかどうかで負担感が変わる、と実感した部分です。

医療費控除

1年間に支払った医療費が一定額を超えると、医療費控除を受けられる場合があります。介護サービスのうち、訪問看護や通所リハビリテーションなどの医療系サービスの自己負担分は、医療費控除の対象になることがあります。

また、訪問介護などの福祉系サービスは、医療系サービスと併せて利用する場合に対象になることがあります(国税庁 タックスアンサー No.1127「居宅サービスなどの対価」、No.1125「介護老人保健施設などの施設サービスの対価」、2026年時点)。

確定申告で申告することで、納めすぎた税が戻る場合があります。1年分の領収書を残しておくと、判断の手がかりになります。

おむつ代の医療費控除

おおむね6か月以上寝たきりの状態にあり、治療を受けている方の場合、おむつ代が医療費控除の対象になることがあります。対象とするには、医師が発行する「おむつ使用証明書」が必要とされるのが一般的です。

毎日の出費で見落としやすい部分ですが、金額がまとまることもあります。私自身、おむつ代が控除の対象になり得ると後から知って、もっと早く把握しておきたかったと感じました。

障害者控除

要介護認定を受けている方は、身体障害者手帳がなくても、お住まいの市区町村が発行する「障害者控除対象者認定書」によって、所得税・住民税の障害者控除の対象になる場合があります。

認定の基準や手続きは自治体によって扱いが異なるため、お住まいの市区町村の窓口でご確認ください。

介護保険料は社会保険料控除の対象

公的介護保険の保険料として支払った分は、社会保険料控除の対象になります。年金から天引きされている場合も含め、控除の対象として申告できる場合があります。

ここで挙げたのはあくまで一般的な説明です。控除の対象になるかどうかや金額の計算は、状況によって変わります。正確には税務署・お住まいの市区町村・税理士などの専門家へご確認ください。

仕事を続けながら介護する制度とお金(介護離職を避ける)

介護は、ある日急に始まることもあります。働きながら支える方のために、仕事と介護を両立するための制度が法律で定められています。「介護に専念するため」に仕事を手放すのではなく、「両立の体制を整える期間」として使うという考え方です。

介護休業

家族の介護が必要なとき、対象家族1人につき通算93日まで、3回までを上限に分割して介護休業を取得できます。まとまった時間が必要な、態勢を整える初期などに活用しやすい制度です。

介護休業給付金

介護休業を取得し一定の要件を満たすと、雇用保険から介護休業給付金が支給されます。金額は休業前の賃金のおおむね67%が目安とされています。要件や計算方法があるため、利用を考える際は早めの確認が役立ちます。

介護休暇・短時間勤務など

通院の付き添いや手続きなど、短い時間の対応には介護休暇が使えます。対象家族が1人なら年5日、2人以上なら年10日まで、1日単位または時間単位で取得できます。このほか、短時間勤務制度や残業の免除など、両立を支える仕組みも設けられています。

介護離職は、収入だけでなくキャリアも失いやすく、いったん離れると戻りにくいと一般に言われています。制度を上手に組み合わせて、続けられる形を探すことが、長い目で見て自分自身を守ることにつながります。

遠くに住む親を気にかけながら働く方も、ひとりで抱え込まずに済むよう、制度はあります。私も、できることを少しずつ分けて考えるうちに、肩の力が抜けていきました。

なお、制度の内容や要件は改正されることがあります。詳しくは勤務先・お近くのハローワーク・厚生労働省の最新情報でご確認ください。

お金が足りないとき、どうする?(対処の順番)

介護のお金が足りないとき、いちばん大切なのは、慌てないことです。私も、父の在宅介護で「このまま続けられるのかな」と、夜中にぼんやり数字を数えた時期がありました。でも、つまずく前にできることが、いくつも順番に用意されています。

1. まず相談する

最初の一歩は、誰かに話すことです。ケアマネジャー、地域包括支援センター、施設の相談員(生活相談員・ソーシャルワーカー)は、お金の悩みを聞き慣れています。支払いの分割や猶予を相談できる場合もありますし、使える制度を一緒に探してくれることもあります。一人で抱え込まず、まず声をかけてみてください。

2. サービスや施設を見直す

次に、いまの介護の内容を見直します。同じような支援でも、公的なサービスや施設のほうが費用をおさえられる場合があります。ケアマネジャーに「無理のない範囲に整えたい」と伝えると、ケアプランを組み直してくれることがあります。

3. 世帯分離を確認する

親と同じ世帯になっていると、住民税の課税区分によって介護の自己負担の上限が変わることがあります。世帯を分ける「世帯分離」で負担が軽くなる場合もありますが、要件があり、誰にでも当てはまるわけではありません。健康保険などほかの面に影響することもあるので、市区町村の窓口で確認するのが安心です。

4. 親の家を活かす選択肢

親が持ち家の場合、家を活かしてお金にする方法も一般的には知られています。住みながら家を担保にお金を借りる「リバースモーゲージ」、家を売って住み続ける「リースバック」、そのまま売却する、といった仕組みです。それぞれに条件や向き不向きがあるため、仕組みを知ったうえで、専門家に相談しながら慎重に検討するとよいでしょう。

5. 最後のセーフティネット

それでも生活が立ちゆかないときには、生活保護という制度があります。生活保護には介護費用を支える「介護扶助」も含まれます(厚生労働省「生活保護制度」、2026年時点)。ためらう気持ちが出るかもしれませんが、暮らしを守るために用意された仕組みです。

道は、一つではありません。お金の不安で眠れない夜があっても、朝になったらまず一本、相談の電話をかけてみる。それだけで、肩の力が少しゆるむことがあります。制度の詳しい要件や金額は変わることもあるので、正確には市区町村の窓口や専門家へ確認してください。

認知症とお金(成年後見・お金のトラブル)

認知症が進むと、見落とされがちな現実があります。本人の銀行口座の管理や、契約の手続きが難しくなっていくことです。私自身、「家族なんだから、親のお金は自由に動かせる」と思い込んでいた時期がありました。でも、たとえ子どもであっても、親のお金を勝手に動かせるわけではありません。親のお金は、親のものなのだと、あらためて気づかされました。

成年後見制度という仕組み

判断することが難しくなった人の財産を守る仕組みとして、成年後見制度があります(法務省「成年後見制度」、2026年時点)。すでに判断が難しくなってから家庭裁判所が後見人を選ぶ「法定後見」と、元気なうちに本人が将来に備えて契約しておく「任意後見」があります。メリットも手間もあるため、利用するかどうかは、家族で話し合い、専門家の説明を聞いたうえで判断するとよいでしょう。

お金のトラブルに気をつける

高齢になると、訪問販売や電話勧誘などのトラブルに巻き込まれやすくなります。身近な人ほど気づきにくいものですが、見慣れない契約書や請求書があったら、早めに声をかけたいところです。困ったときは、消費者ホットライン「188」(国民生活センター)に相談できます。お住まいの地域の消費生活センターにつないでくれます。

制度の細かい要件や手続きは場合によって変わることがあるので、正確には市区町村の窓口や専門家へ確認してください。

遠くに住む親の介護とお金(遠距離介護)

親と離れて暮らしていると、介護そのものより先に「移動」がお金になって表れます。月に一度の帰省でも、交通費や宿泊費が重なれば、一般的には大きな負担になりがちです。とくに飛行機や新幹線を使う距離だと、急に呼ばれて駆けつけるたびに出費がかさみ、ボディブローのようにじわじわ家計に効いてきます。

負担を少し軽くする選択肢として、航空各社には「介護帰省割引」と呼ばれる運賃が用意されている場合があります(2026年時点)。対象や条件、必要な書類は各社で異なるため、利用を考えるときは事前に各航空会社の窓口で確認してみてください。割引の有無を知っているだけでも、帰省のたびの気持ちが少し変わってきます。

帰省の回数そのものを見直す工夫もあります。

  • 見守りサービスや人感センサーで、離れていても日々の様子をゆるやかに把握する
  • ビデオ通話アプリで顔を見て話し、表情や声の調子から変化に気づく
  • ケアマネジャーや近くの家族と情報を共有し、誰がいつ動くかを決めておく

こうした仕組みは、交通費の節約だけでなく「会えない不安」をやわらげてくれます。遠くにいると、お金の心配と同じくらい「今どうしているだろう」という気がかりが重くのしかかるものです。

それでも、毎日そばにいられなくても支えられる方法は確かにあります。電話一本、仕送り、手続きの代行も、立派な介護です。離れているからこそできる支え方を、どうか自分を責めずに選んでいってください。

今からできる備えと、相談先一覧

お金の備え5ステップ
お金の備え5ステップ

介護は、ある日突然始まることもあります。慌てないために、元気なうちから少しずつ準備しておくと安心です。

今からできる備え

まずは親のお金まわりを、ざっくりでよいので把握しておきましょう。

  1. 親の資産(預貯金・年金・保険など)と、毎月かかるランニングコストをおおまかに把握する
  2. 使える可能性のある制度(公的介護保険・高額介護サービス費・各種助成など)をリストにしておく
  3. 家族で集まり、誰が何を担うか、どんな方針で介護したいかを一度話し合う

将来に向けた資産形成として、NISAやiDeCoといった制度が一般的な選択肢として挙げられることもあります。ただし向き不向きは人それぞれなので、必要に応じて専門の窓口に相談しながら、無理のない範囲で考えてみてください。

民間の介護保険・認知症保険

公的介護保険でカバーしきれない部分を、現金給付で補えるのが民間の保険です。おむつ代や見守りサービスなど、公的制度の対象外になりやすい出費に充てられる点が一つの特長とされています。

一方で、必要かどうかは家計や親の状況によって変わり、一概には言えません。すでに十分な貯えがある場合は不要なこともあります。加入を検討するときは、公益財団法人生命保険文化センターの一般解説などを参考に、中立な目線で判断するとよいでしょう。

困ったらここへ

一人で抱え込まず、まずは相談してみてください。無料で利用できるものが多くあります。

  • 地域包括支援センター(介護の総合相談窓口)
  • ケアマネジャー(ケアプラン作成や事業者との橋渡し)
  • 市区町村の介護保険窓口(制度や手続きの確認)
  • 社会福祉協議会(福祉全般の相談・地域の支え合い)

いちばんの備えは、お金でも書類でもなく、元気なうちに親と一度きちんと話しておくことだと、今になって思います。何を望むのか、どこで過ごしたいのか。その一言があるだけで、いざというときの迷いがずいぶん軽くなります。

まとめ:不安は「打てる手のリスト」に変えられる

親の介護のお金は、知らないままだと不安ばかりが大きくなります。でも、こうして全体像と制度を並べてみると、打てる手は思っているよりたくさんあります。

  • 平均や相場は、出発点として知っておく
  • 介護のお金は、まず親本人の年金や貯蓄から考える
  • 使える公的制度は、申請してはじめて受けられるものが多いので、もれなく確認する
  • 医療費控除や障害者控除など、税で取り戻せるお金もある
  • 仕事は辞めずに、介護休業や介護休暇で両立する道を探す
  • お金が足りないときも、相談から始められる順番がある

完璧に準備できなくても大丈夫です。今日できる小さな一歩から、ゆっくり進めていきましょう。

一目でわかる「介護費用の早見表」

この記事の要点は、保存して見返せる図解にもまとめています。月々の費用、在宅と施設の相場、使える制度の一覧を1枚で確認できます。なごみ暮らしのInstagram(@nagomikurashi)で公開していますので、よければのぞいてみてください。

この記事について

掲載した金額は、調査時点での平均や目安です。実際の費用は、地域・所得・要介護度・施設によって大きく異なります。制度の内容や金額、上限額、期限は改正されることがあります。最新で正確な情報は、厚生労働省やお住まいの市区町村の公式情報をご確認ください。個別のご事情については、地域包括支援センター・市区町村の介護保険窓口・ケアマネジャー、また税や法律にかかわることは税理士・司法書士・弁護士などの専門家にご相談ください。

おもな出典(いずれも2026年時点):生命保険文化センター「2024年度 生命保険に関する全国実態調査」/厚生労働省(介護保険の解説・区分支給限度基準額・高額介護サービス費・特定入所者介護サービス費・高額医療高額介護合算療養費・育児介護休業法と介護休業給付・地域包括支援センター・生活保護制度)/国税庁(タックスアンサー No.1127・No.1125、おむつ代の医療費控除)/法務省「成年後見制度」/国民生活センター(消費者ホットライン188)。

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この記事を書いた人

なごみと申します。がんの父を自宅で看取った経験から、介護・看取り・終活について、同じ立場の方のお役に立てればと綴っています。専門家ではありませんが、当事者として「あのとき知っておきたかったこと」を、できるだけ正直にお伝えしていきます。

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